Q・T・D氏&クマと行く!飯全振りキャンプのすすめ


自然の中で飲む酒ってなんであんなにうまいんでしょうね。



October2023の秋田飯キャンプ

秋が深まって、ネットニュースの見出しに”全国でクマ出没”などと騒がれている時期に、わざわざ秋田までキャンプに行ってきた。

なぜか?それはもちろん、美味しいキャンプ飯が食べたくてである。

実を言うと、嫁さんの実家の庭がもう、完璧なキャンプ場なのである。

テントを張らせてもらうが、夜はクマが怖いから、嫁さんや子供たちは家の中に入って寝てもいいわけである。





僕のキャンプと言えば、結局は飯のためにやっているのだ。

外で寝るのって、夏は暑いし冬は寒いし、体も痛くなるでしょう?

でも、外でしか作れない旨い飯とか、焚き火の下での星空とか、そういうのはキャンプ場に行かないと味わえない。

だから、楽しいとこだけ楽しんで、面倒なとこはカット。それが僕流のリラックスキャンプなのである。

そういうわけだから、僕はキャンプに行ったら、朝から飯作りに全力を出す。





朝一でエスプレッソを淹れたら、さっそく昼ごはんの支度。まずは薪や杉の葉っぱを集めてきて、火起こしだ。





近くの肉屋でゲットした牛ヒレを、ビールを飲みながら焼き始める。子どもたちもやってきて、モンハンの肉焼きごっこに夢中。





結局最後は僕がステーキ職人になって、焼き上げる。肉は専門店で購入。肉のわかば角館店は秋田由利牛が手ごろな値段で手に入る良い店だ。





うん、ばっちり、ミディアムウェル。ヒレはある程度しっかり焼くのが僕は好みなのだ。





肉には、秋田長堀商店のオリジナル焼肉のタレが最高。これがまたどんな肉にも合うのだ。





そしたら、嫁さんがビア缶チキンの準備を始めた。ビール缶を鶏の中に入れて、植木鉢を逆さにしてくっつけたみたいな特製の釜で、蒸し焼きにする豪快オブ豪快な料理である。





これがまたビールにピッタリで、肉もほろほろ。

そんな感じで食べて飲んで、みんなで話してたら、あっという間に日も暮れかけている。さあ、これからがクライマックス、きりたんぽ鍋の時間だ。





ただのきりたんぽ鍋じゃない、ダッチオーブンで作る「黒きりたんぽ鍋」

本当は、僕はこれをクロキリって呼びたいのだけど、有名な芋焼酎のほうが先に使っていた。名案だったのにな。





比内地鶏ときりたんぽ、ゴボウ、山で採れた野生のキノコをドサッと入れて、忘れちゃいけない、ネギとセリがきりたんぽ鍋の命である。





焼けた炭を蓋の上にのせて、オーブンタイム。





鉄分豊富なダッチオーブンのおかげでスープも具もかなり黒いが、最初のとまどいを捨てて、慣れればおいしく食べられる。





灼けた鉄のオーブンで熱するわけだから、圧力鍋効果なんかもあって、地鶏が軟らかく煮こまれていて、出汁もよく出るのかもしれない。





腹が満たされたら、火を囲んで嫁さんとの酒タイムが始まる。秋田と言ったら日本酒だけど、この樹輪って米焼酎、お湯割りにしたらおいしかった。





でも結局はやっぱり、日本酒ということに。最初は冷で飲んでたけど、飯盒にお湯を張って熱燗にしてみた。イケる。





キャンプ飯というのは、単なる食事という枠を軽やかに飛び越える。

こんな何とも気ままでおいしいキャンプ

それが僕にとってのある種の、理想形というわけなのである。

May2024ゴールデンウィークの秋田飯キャンプ

2024ゴールデンウィークが到来。またぞろ秋田まで飯キャンプに行ってきた。

東北道をひた走り、真夜中に嫁さんの実家へ到着。即ベッドへ。

翌朝、ワクワクで早朝から草刈りをして設営。食材と燃料の現地調達も済み、今年も飯キャンプが幕を開けた。

今回は荷物を軽めにしたかったので、いつものタイガース折りコンに入った小間物と、ダッチオーブン、クワトロポッド、囲炉裏テーブルくらいしか持っていっていない。


ここをキャンプ地とする

食材は、わが亡き父の故郷である鹿児島県の離島三島村から届いた、立派過ぎる伊勢海老2尾を持っていき、あとの食材は現地調達とした。


鹿児島県三島村の伊勢海老

見よ!このわが阪神タイガースの宿敵、巨〇軍を率いた"腹立つのり"監督も真っ青な、伊勢海老ダンスを!


伊勢海老ちゃん入居

ダッチオーブンの中に入れ、超豪快に蒸し焼きにしていくのだ!


炭を乗せ済み

ダッチオーブンの上に、炭を乗せ済み!なんちって!!!!!!!!!!


マッカチン

まっかなマッカチン(そりゃザリガニだっつーの)の焼き上がり、マジでうまそーでチョー!!ばばんちょー!


伊勢海老のダッチオーブン焼き

斬鉄剣できられたみたいに真っ二つに!!!エビ味噌がうんまそ~!


スウェーデントーチ

今回はコメリパワーでスウェーデントーチが売っていたので購入。価格は700~800円程度だった。マジで激安だと思う。


スウェーデントーチ・ファイヤー

火を灯すとこんな感じ、やっぱりキャンプで火を見ると癒される。ムカ着火ファイヤーーーーー!(何)


火を囲んで

あっという間のGWが今年も過ぎていった・・・。嫌じゃー帰りたくないー

May2025ゴールデンウィークの秋田飯キャンプ

ゴールデンウィークという言葉に、どれほどの希望が詰まっているのか。

知っている。

今年のGWも、 性懲りもなく秋田。



この季節になると何かのスイッチが入る。

例によって東北道を走り、例によって夜に妻の実家に深夜に到着する予定だ。



カーラジオの天気予報が一週間の予報を伝える。

どうやら滞在中は長い雨となりそうだ。



「雨の中でやるキャンプこそ真のキャンプ」などと口走ったら、嫁と子供が同時に無言の「は?」顔を見せてきた。

嫌なの?雨。 え、嫌?そう…



僕はハンドルを握り直し、脳内でCtrl+Z。何も言ってないことにした。





翌朝、例年なら「草刈り→設営」だが、今年は草がほとんど伸びていない。

義父が先にやってくれたのか、それとも雑草までもが物価高に耐えかねて発育を諦めたのか。

とにかく、草のない庭に、ひとりで大型のテントを設営した。


濡れたテント

濡れた地面、濡れた布、濡れた心。手伝いゼロ。声かけゼロ。

なんだろう、これがソロキャンというやつか。


テント設営


寝室



庭からは、時折「こまち」がビューンと通り過ぎていくのが見える。


こまち

普段写真は撮らないし、撮る意味もない。撮れない鉄で結構。


普通電車





肉は、今年も「肉のわかば角館店」で調達。


ハラミ


タン

タンとハラミ。あとタン。さらにハラミ。


タン

人はこうして偏食になる。肉のバカになって、バカみたいに肉を焼いて、そしてバカみたいに食った。胃がアホになった。それが最高に幸せだったから文句もない。




きりたんぽ鍋1

そして例のきりたんぽ鍋。


きりたんぽ鍋2

今年はキノコを爆盛りしたら、風味が倍増。

旨すぎて泣きそうになった。これはもう、汁というよりも人生の抽出液である。


スウェーデントーチ

ひとしきり食ったら、例によってスウェーデントーチ。

去年800円くらいで買ったやつが、今年は1,500円を超えていた。

ほとんど倍だ。倍という文字を見ると、なぜか倍返しを思い出す。だが返ってこない。火が燃えるだけ。

値上がりした木材を眺めながら、「え、これ、燃やしていいやつ?」と一瞬ためらったが、火をつけた。燃やした。見た。全米が泣いた。



スウェーデントーチ

火を前にして、僕はひとりで酒を飲んだ。

今年、妻は三人目を妊娠した。

だから飲み相手はいない。

火は喋らないが、ずっとそこにいてくれる。



スウェーデントーチ

気がつくと、雨は止んでいた。

たぶん、いろいろ終わってから止むようになっている。人生とは、そういう設計だ。





おまけ



秋田県には朝からラーメンを啜る文化がある。



その前線基地ともいうべき存在が、ラーメンショップ四ツ屋店、通称「よづらー」である。

ここのネギミソラーメンを一度食べてみたかったのだ。

愛車のC28系セレナ(ベージュ)を飛ばして、よづらーへ到着。朝8時からすでにお客が満員に入っている。



スウェーデントーチ

みんな朝から何をそんなにラーメンしているのだろうか。

それぞれに人生があり、たぶん悩みもあるのだろうが、今この瞬間、全員がただ一心に麺をすすっている。

その光景は、ちょっとした宗教めいていた。 信仰対象は「ネギ」である。



僕は事前の調査によって、一番美味そうだと判断したネギミソラーメンの食券を買って、その信仰の輪に入って行った。

スウェーデントーチ

ネギミソラーメンは、噂通り美味かった。少し甘みも感じるスープ、ネギに絡むクマノテが最高である。卓上のニンニクを入れるとパンチの効いた極ウマスープに豹変した。

無心になってラーメンを啜った。朝の8時に何をやってるんだろう。



帰りの車内で、自分がしっかりニンニク臭いことに気づいた。

「まあ、いいか」と思った。



翌朝、気がつくとまた、僕はよづらーに車を飛ばしていたのだった。